努力が報われる研究室

鈴木 智也

皆さん,初めまして.つい数年前まで与野に住んでいた鈴木智也と申します.怪しいタイトルですが,宗教ではございません.私は現在,同志社大学工学部システムデザイン学科に勤務しています.主にプログラミング関係の講義を担当しています.研究分野は,データサイエンスです.データがあればそこからウマい情報を抽出しよう!とスローガンを掲げ,研究を続けています.例えば,株価が予測できたらお金持ちになれますので,株価が変動するメカニズムを抽出したり,自然な音声を機械から発話させるために,人間の音声の自然さたる所以を分析したりしています.また,そういった目的をかなえるための手法も考案しています.これらの研究は,池口研究室で学んだカオス時系列解析,学習理論,最適化手法,複雑ネットワーク理論そのものです.

現在はこのように工学的な視点で研究を進めていますが,実をいうと出身は理学部物理学科です.出身大学も埼玉大学ではありません.僕は学部時代,物理が嫌で嫌でたまりませんでした.学部の時の講義と言えばやたら難しいし,先生方もご年配ばかりで教える気が感じられないし...ぶつぶつと,グチりだしたらきりがないので止めておきます.そんな僕には科学はむかん!と思い,大学4年生の時は商社に入るべく文系として就職活動をしたほどです.しかし,商社は僕を受け入れてくれませんでした.最終面接手前までは行ったのですが,実力が伴っていなかったんでしょう.相当なショックを受けた記憶が残っています.それと同時に,こんな経験を大学入試でもしたことを思い出しました.僕は高校3年生の時,偏差値が届かないのに東京理科大を3学科も受け,全滅した経験があります.しかし,浪人時代では寝る暇を惜しんで勉強し,翌年には合格に至りました.あの奇跡をもう一度!と思い,さらにあんな苦労をして入学したのに今の自分はなんてザマだと悔い,大学院に進み,一から"修行"する覚悟を決めました.

しかし,もう一つの山が待ち受けていました.商社の名残りから研究テーマとして経済学を物理的に扱いたいと当時の指導教員に伝えたところ,「それは物理じゃないね〜」の一言で切り捨てられました.指導教員は当時,日本物理学会会長で,統計物理の大御所でした.僕には反論する勇気さえありませんでした.頼るあての無い私は,おもむろにYahoo!検索で,「経済データ カオス」と打った記憶があります.筆頭に池口先生の記事がヒットしました.記事を読んだ私はすぐに先生にアポイントを取り,それ以後御指導頂くことになりました.数年後には,経済物理学と呼ばれる分野も誕生し,追い風がきたと感じて研究に熱も入りました.

このような経緯で,僕は大学院1年から博士課程修了までの計5年間も池口先生にご指導して頂きました.最初は東京から通っていましたが,研究に夢中になるにつれ,通うのが煩わしくなり,結局,与野に引っ越したとういうわけです.それほど池口先生は熱心にご指導くださり,5年間を通じて池口研究室から得たものは大きかったのです.

私の科学への誤解が解かれるともに商社への情熱も薄れ,純粋な理系人として現職に勤めること が出来ました.おそらく多くの学生のみなさんは,どこの研究室に所属しても変わりゃしないさとか.どうせなら就職に役立つ所がいいな,と考えているのではないでしょうか.そんな方々に,池口研OBとして,以下のまとめを捧げます.

池口研究室が他の研究室と違う点は以下のとおりです.

  • 先生の指導が熱心

    講義を受けた方はお分かりだと思いますが,非線形科学にかける情熱は深く熱いです.池口先生とディスカッションすることで,皆さんの研究は劇的に進歩し,刺激的な研究生活が送れるでしょう.時間もあっという間に流れます.
  • 適切に大舞台に上げてくれる

    研究が進めば学会発表に挑みます.人間はある程度プレッシャーを受けないと頑張れない動物ですので,学会発表というプレッシャーを受けると,信じられない程頑張れる人間に成長します.さらに,適度に自由にやらせてくれますので,プレッシャーは増大しますが,オリジナリティーを発揮するチャンスにも恵まれます.
  • 他大学との連携が密

    いわゆる学会発表や,池口研究室が他大学の研究室と合同で開催している非線形問題勉強会を通じて,様々な大学の先生方と知り合うことになるでしょう.どの先生方も情熱に長けています.私がいうのも失礼な話ですが,脂の乗ったイイ大人を見ることができます.普通の大学生だと,脂の乗ったイイ大人はマンガやドラマなどでしか出会えません.

以上を踏まえて,池口研究室に所属すると良いところは主に以下のとおりです.

  • 成功体験

    頑張ることにより,何らかの業績を残せます.人間は成功すると,もっと成功したいと思う動物ですので,自然に頑張れるようになります.また,小難しいことを解釈して業績として残す過程は,全ての仕事において共通です.つまり,仕事のデキル人間に成長するでしょう.さらに,ある程度自信がつくと,難しいことでも尻込みしなくなります.いわゆるデキル人とデキナイ人の境目は,難しいことに対し尻込みするか否かにありますが,池口研での成功体験により,何にでも挑戦する心が芽生え,それに従ってやってみると意外に何でも出来るという好循環に陥ります.
  • 総合的なスキルの向上

    変な資格に縛られることなく,総合的な仕事人として必要なスキルを向上できるでしょう.例えば,プレゼン能力,文章執筆力,日本語力,英語力,論理的思考能力です.いずれも池口研での生活,学会発表などを経験すれば,自然に身に付きます.
  • 価値観が変わる⇒人生が変わる

    「価値観が変われば,行動が変わり,人生が変わる」ということを池口先生が仰っていたと思います.私も同感です.
  • 夢を持って進学できる

    「大学に進学したけど,就職したくないな.就職したくないから大学院にいこうかな」なんて寂しい人生ですよね.やはり,大学では何かに情熱を燃やし,良い大人達に触れることで,ああゆう大人になりたいからこそ社会に出るんだ!といったポジティブな人生を送りたいものです.そんな価値観が芽生えると思います.

これらのことは魔法ではないので,もちろん個人の努力があってこそではあります.でも,みんなを発奮させ自然にそんな努力をさせ,しかもそれが十分に報われる,そんな場を提供してくれることが池口研究室の神髄なのではないでしょうか.あんまり書きすぎると,うさん臭くなるので,そろそろ終わりさせて頂きましょう(笑)

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