池口研で得られるもの

成澤 佳介

新しく研究室に配属されるみなさん,こんにちは.前期に開講されていた非線形システム概論のTAをやっていた成澤です.授業中に,私が行っている研究内容の話題が出たこともあったので覚えてくれている人もいるかもしれませんが,私はカオス的な時系列信号の長期予測の研究をしています.地震や株価などの複雑な振る舞いを示す非線形現象を予測することで,世の中の役に立とうという研究です.

さて,みなさんはこれから研究室に配属され,新しく研究生活がスタートするわけですが,研究室とはいったいどのようなものなのか想像するのは難しいかもしれません.そこで簡単にですが,私が体験してきた池口研究室での研究生活について紹介したいと思います.

今から3年前の2006年春,期待と不安を胸に抱きながら,私は池口研究室のメンバーになりました.「期待と不安」と書きましたが,はっきり言って,不安だらけでした.今まで足を踏み入れたことのない「研究」という世界で,果たしてうまくやっていけるのだろうか?プログラミングなんて授業でしかやったことないし…自分一人で論文なんて書けるのかな…数えればきりのないほどの不安の連続でした.みなさんも今,同じような不安を抱えているのではないでしょうか.しかし,心配する必要はありません.池口研究室では,池口先生はもちろんのこと,大学院生がしっかり面倒を見てくれます.配属されると早速,計算機の使い方についての講習会があります.ここでUNIXの使い方やTeXの使い方,プログラミングの仕方などについて一通り習います.分からないところがあればいつでも質問できるような環境が整っているので,安心です.

 

講習会が終わる頃には,いよいよ研究がスタートします.みなさんの中には「研究」と聞くと,暗い部屋にこもって一人でずっとコンピュータに向かっているような姿を想像する人もいるかもしれません.しかし,それは全く違います.研究を進めていく上で最も重要なのは,コミュニケーション能力だと思います.研究とは,一人でできるものではありません.研究の進め方を指導してもらったり,研究結果について意見を交換したり,学会発表を行ったりなど,コミュニケーション能力が必要とされる場面は数多く存在します.池口研究室に配属されると,このコミュニケーション能力がとても向上します.

毎週行われるミーティングで研究結果について発表を行い,全員で議論します.最初のうちは,自分の考えていることをうまく説明するのがとても難しく感じると思います.しかし,池口先生や先輩,同級生との熱い議論を繰り返すことで,人を説得する力,納得させる力がつきます.私も最初,考えていることがなかなか伝わらず,もどかしかった記憶があります.しかし回を重ねるにつれて,自分の言いたいことを適切に表現できるようになったと思います.議論をする場はミーティングだけではありません.池口研究室では普段から活発に議論を行っています.そのため,コミュニケーション能力をはじめ,文章作成能力,プレゼンテーション能力,プログラミング能力などなど,さまざまな能力がどんどん身につきます.

人前で発表する機会も多いので,度胸も身につきます.数か月に一度,東京電機大学,東京理科大学などの他大学と合同で勉強会を行います.ここで研究発表をすると,他大学の先生方からも非常に多くのアドバイスやコメントをもらえます.普段の研究室の視点とはまた違った意見を多くもらえるので,とても新鮮な気持ちでまた研究を進めていけるようになります.また,勉強会後の懇親会では,他大学の学生との交流を深めることもできます.分野の違う人たちと話し合うと,新たな発見などの刺激が多く得られます.

研究が進むと,学会で発表する機会もあります.最初は国内での発表が多いのですが,外国で発表する機会もあります.そのときはもちろん英語です.英語で発表なんてムリ…と思うかもしれませんが,大丈夫です.池口研究室では英文輪講や発表練習などを通して英語の勉強もしっかりできます.私は修士1年生のときに,カナダで学会発表を経験しました.初めての外国で初めての英語発表でしたが,しっかり準備できたおかげでうまくこなすことができました.そういえば明日 (2/28) からホノルルのワイキキで開催される国際会議に行ってきます.もちろん,発表も行いますが常夏の島ハワイで同級生の加藤君とビーチバレーボール大会の優勝もGetしてきます! このように,国内,国外を問わず様々な場所に行けるのは学会発表の魅力ですね.

 

このように池口研究室では,信じられないほど多くの能力や経験を身につけることができます.これらの能力は研究だけに関係するものではありません.就職活動のときにも有利です.理系の就職活動では,どのような研究をやっているか聞かれることが多いからです.ここでうまく答えられない人は,「こいつは遊んでばっかりなんだな」と思われてしまいます.しかし,私は池口研究室で鍛えられたおかげで,研究内容について,きっちりと分かり易く,落ちついて説明できたと思います.海外での学会発表の経験や,研究成果など,話す内容はいくらでもありました.また,自分のやりたいことについても,自分の言葉で明確に伝えるとができました.その結果,NECから内定を頂くことができました.

 

池口研究室で学んだ多くのことは,社会に出てからも,そしてその後も一生役に立つと信じています.池口研究室は人間的に大きく成長できる場所だと思います.

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