特別研究員になれた理由

松浦 隆文

学部3年生のみなさん,こんにちは.博士後期課程2年の松浦隆文です.池口研究室には2003年から所属しています.また,2008年度から日本学術振興会 特別研究員 DC2に採用されました.特別研究員とは,独立行政法人 日本学術振興会が,博士後期課程に在籍する学生,または若手研究者が研究に専念することが出来るように資金的な援助を行なう制度です.具体的には,博士後期課程の学生の場合は,月額20万円,それ以外に最高150万の科学研究費補助金が支給されます.私がこの特別研究に採用されたのは池口研究室に所属しているからだと思います.なぜ,そう感じているのか幾つか理由をあげたいと思います.

まず1つ目は,研究テーマが自分に合っていたからだと思います.私は,カオスダイナミクスを用いた組合わせ最適化問題の解法を研究テーマとしています.どの研究もそうですが,ライバルは世界中にいる研究者です.多くの組み合わせ最適化問題は,ベンチマーク問題を解きチャンピオンアルゴリズムを目指します.例えば,情報工学総合演習 課題Bの巡回セールスマン問題では,TSPLIBに用意されているベンチマーク問題を解きます.そして,最適巡回路,または既知の最短巡回路よりも短い巡回路を構築可能な手法を開発することが目的となります.私には,このアルゴリズムを考えチャンピオンを目指すという目標が自分に合っていました.研究室に泊まり込み,文献・参考書を読み,シミュレーションを行うこともありましたが,提案手法の性能が向上したときの喜びは全ての苦労を忘れさせてくれます.残念ながら,まだ,チャンピオンアルゴリズムは開発できていません.池口研究室で共にチャンピオンアルゴリズムの構築を目指しませんか?

 

2つめの理由は,積極的に国内外で研究発表できたことです.私は,旅行が大好きなので,研究発表を行なうために,研究成果をあげようと日々頑張りました.私が,初めて国際会議に参加したのは,卒論生の時でした.卒業研究の成果も出はじめた12月頃に,池口先生に「ハワイで開催される国際会議に投稿してみる?」と言われ,行きたい一心で「はい.」と答えたのを覚えています.それから英語で原稿を作成し,発表スライドを準備し,発表当日を迎えました.発表は内容を途中で忘れてしまい散々なものでしたが….

これまでに,海外ではこのハワイを皮切りに,ウィーン(オーストリア),ブルゴス(スペイン),モントリオール(カナダ),プラハ(チェコ),ブダペスト(ハンガリー),国内では福岡,神戸,香川などで発表しました.行った先々で,世界的に有名な建築物や博物館を訪れました.例えば,ハプスブルク家の宮殿(ウィーン),サグラダファミリア(スペイン)などです.ハプニングもありました.ウィーンでは,日本でホテルを予約せずに現地に向かい,しどろもどろで現地のホテルの予約しました.池口先生は,ジプシーに財布をすられました.スペインでは,英語がまったく通じず,知らない場所に連れて行かれたこともありました.

学会発表を行ないその内容が特に優れていると認められた場合,表彰されることもあります.私は,2005年度に電子情報通信学会から学術奨励賞を受けました.その際,副賞として万円を頂きました.2008年度は,ブダペストで行なわれた非線形理論とその応用に関する会議で,Best Student Paper Award (Gold Prize) を頂きました.そのおかげで2009年度はこの国際シンポジウムの参加費が無料になります.池口研究室で共に研究報告に行きませんか?

最後に,私が特別研究員に採用された最も大きな理由は,池口研究室の環境にあると思います.博士課程入学前の研究成果が採用の基準になるため,学部4年生,修士課程での努力が必要になります.採用されるためには,自分の頑張りは不可欠ですが,所属する研究室の環境も重要だと思います.研究は,自分だけで全てをやろうとすると行き詰ってしまうからです.そんな時は,解決の糸口となるのが指導教員をはじめ,諸先輩方のアドバイスです.私は研究に行き詰った時,池口先生の部屋をノックしアドバイスを求めました.また,2学年先輩である木村貴幸さん(現,香港理工大學 電子及資訊工程學系 博士研究員)と月に1回は酒宴の場を設け,朝までお互いの研究内容について議論しました.木村さんもカオスダイナミクスを用いた組合わせ最適化技法を研究テーマとしていたため,自分の考えや方法が正しいかどうか,カオスダイナミクスを用いて効果的な解探索を行なうためにはどうすればよいのか真剣に話し合いました.木村さんとの議論は,研究成果の大きな割合を占めていると言っても過言ではありません.このように,研究環境に恵まれていたこともあり,私は平成20年度から特別研究員 DC2として採用されたのだと思います.

学部3年生のみなさんは,これから研究室が決まり,研究者としての第一歩を踏み出しますが,どの研究室に配属されてもチャンピオンを目指して欲しいと思います.池口研究室に配属された際は,一緒にチャンピオンを目指しましょう!!

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