充実の研究環境

成澤 佳介

私は2006年4月に池口研究室に配属されました.そしてこの春,修士2年生になります.池口研究室に配属されてはや2年,非常に密度の高い毎日を過ごしています.学部生の皆さんには,研究室での生活がどのようなものなのか,想像がつきにくいかもしれません.私もそうでした.そこで簡単にですが,池口研究室での研究生活について説明したいと思います.

2006年春,期待と不安を胸に抱きながら,私は池口研究室のメンバーになりました.「期待と不安」と書きましたが,はっきり言って,不安だらけでした.今まで足を踏み入れたことのない「研究」という世界で,果たしてうまくやっていけるのだろうか?プログラミングなんて授業でしかやったことないし…自分一人で論文なんて書けるのかな…数えればきりのないほどの不安の連続でした.しかし,実際には杞憂でした.池口研究室では,池口先生はもちろんのこと,先輩方がしっかり面倒を見て下さいます.配属されると早速,計算機の使い方についての講習会がありました.ここでUNIXの使い方やTeXの使い方,プログラミングの仕方などについて一通り習います.分からないところがあればいつでも先輩方が教えて下さったので,すぐに池口研究室での研究環境に慣れることができました.

講習会が終わった頃,今後どのような研究を行っていくかについて,池口先生と相談しました.私はなんとなく画像に興味があったので,研究室紹介のときの例にあった,画像圧縮をやってみたいということを伝えました.すると池口先生は,画像圧縮に関する本を紹介して下さいました.DPCMと呼ばれる,最も基本的な手法について詳しく説明した本でした.この本を読みながら,画像圧縮の基礎について一から勉強しました.本を読んで分かったことについては,毎週行われる研究室のミーティングで発表をしました.発表を行うことで,自分が本当にその内容を理解しているのかを確認することができます.また,分からなかったことや指摘されたことは再度,先生や先輩方と議論することで解決し,先に進めることができました.

一通り画像圧縮について理解すると,今度は研究に自分のオリジナリティを出さなければなりません.そこで私は,画像圧縮に対して非線形予測を用いることにしました.従来のDPCMという方法は,線形予測を用いて画像を圧縮するアルゴリズムです.これに非線形予測を加えることで,さらに圧縮率を向上させようという考えです.

このアイディアも,池口先生に教えていただいたものです.考えたアルゴリズムを実行するプログラムを書いて,自分の方法を試す.結果について先生や先輩方と議論.アドバイスや新しいアイディアを頂く.新しいアルゴリズムを実行する実行するプログラムを書く…この繰り返しです.研究というのはとても根気のいる地道な活動だと思います.そう簡単に良い結果を出すことは出来ません.でも,その分,少しでも良い結果が出たときの喜びはとても大きいです.私は提案手法により,画像の圧縮率を従来法より少し上回ることができました.ほんの僅かな性能の向上ですが,この結果を出すためにはとても苦労しました.そして,これらの結果を電子情報通信学会や,NOLTAと呼ばれる国際学会で発表しました.こうしてがんばったからだと思うのですが,つい先日,平成19年度の電子情報通信学会の学術奨励賞をいただけることになりました.池口先生によれば,この学術奨励賞はとても名誉のある賞で,そもそも受賞できるチャンスはとても少ないそうです. しかし,池口研究室では,長谷川幹雄氏,鈴木智也氏,木村貴幸氏,松浦隆文氏の歴代の先輩方が受賞しています.

この成果は,自分一人では絶対に出せなかったと思います.いつでも研究について真剣に議論して下さり,鋭い意見,アドバイスを下さった池口先生や先輩方のおかげです.池口研究室はこのように,万全のサポート体制で安 心して研究を行うことができます.また,分からないことがあればいつでも気軽に先輩方に質問できる雰囲気もあります.Mac OS X 環境を含め,充実の研究環境を求めるなら,池口研究室は最適です.

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