研究の醍醐味

松浦 隆文

学部3年生のみなさん,こんにちは.博士後期課程1年の松浦隆文です.池口研究室には2003年から所属しています.私が池口研究室を選んだ理由は,やりたい研究テーマがあったからではありませんでした.授業中に池口先生の熱意を感じたからです.みなさんも授業を通して池口先生の情熱をビシビシと感じていると思います.感じている人は,池口研究室で研究生活を送ってみてはどうでしょうか?今,私が池口研究室に配属されて後悔していないように,きっと後悔しないはずです!!

学部3年生のみなさんは,これからどこかの研究室に所属し,さまざまな研究テーマで研究を行っていきますが,研究の醍醐味は何だと思いますか?私は,カオスダイナミクスを用いた組合わせ最適化問題の解法を研究テーマとしています.自分の経験をもとに,これまでに感じた研究の醍醐味の例を幾つかあげたいと思います.

私が考える第一の醍醐味は,自分のアイデアを活かし何かを生み出せることだと思います.研究をするということは,まだこの世の中に存在しない新たな何かを発見することです.これまでに提案されている手法を追試し,同じ結果を得ることも重要だと思いますが,それだけでは未解明な何かを見つけることはできません.新しい何かが必要になってきます.そこで生きてくるのが自分のアイデアです.アイデアを生み出すことは大変なことかもしれませんが,自分の頭の中で思いつくことの全てが,新たな発見だと思います.ひらめいたアイデアを試し,これまでに提案されていない手法を開発することは,今までの人生で得たことのない達成感を味わえることを保証します.

2つ目は,研究に費やした時間が長ければ長いほど,研究成果はあがるということです.エジソンの有名な言葉に,「天才とは,1パーセントのひらめきと99パーセントの努力によって生まれる」という言葉があります.まだ研究を始めて5年足らずですが,確かにそうだなと感じます.実際,研究室に泊まり込み,文献・参考書を読み,シミュレーションを行った結果,成果があがったことが幾度もありました.努力は報われるんだなぁ〜と思っています.

しかし,苦労ばかりではありません,それが第三の醍醐味です.研究した結果得られた成果に対してプラスアルファのご褒美が必ずあります.例えば,論文としてまとめることで,これまでの苦労を形にすることができます.自分の論文を世の中の誰かが読んでくれると思うだけでワクワクします.また,研究の成果をいろいろな場所で発表できます.私の場合,海外ではハワイ,ウィーン,モントリオール,スペインで発表しました.行った先々で,世界的に有名な建築物や博物館を訪れました.例えば,ハプスブルク家の宮殿(ウィーン),サグラダファミリア(スペイン)などです. ハプニングもありました.ウィーンでは,日本でホテルを予約せずに現地に向かい,しどろもどろで現地のホテルの予約しました.池口先生は,ジプシーに財布をすられました.スペインでは,英語がまったく通じず,知らない場所に連れて行かれたこともありました.また,学会発表を行なうと発表した内容が特に優れていると認められた場合,表彰されることもごほうびの一つです.私も,2005年度に電子情報通信学会から学術奨励賞を受けました.その際,副賞として万円を頂きました.

最後に,博士後期課程への進学を希望している人には朗報があります.それは独立行政法人 日本学術振興会の特別研究員制度です (http://www.jsps.go.jp/j-pd/index.html). これは,博士課程に在籍する学生,または若手研究者が研究に専念するための制度です.具体的には,博士課程の学生の場合は,月額20万円,それ以外に最高150万の研究費が支給されます.博士課程入学前の研究成果が採用の基準になるため,学部4年生,修士課程での努力が必要になります.採用されるためには,自分の頑張りは不可欠ですが,所属する研究室の環境も重要だと思います.理由は,自分だけすべてをやろうとすると行き詰ってしまうからです.そんな時は,解決の糸口となるのが指導教員をはじめ,諸先輩方のアドバイスです.私は研究に行き詰った時,池口先生の部屋をノックしアドバイスを求めました.また,2学年先輩である木村貴幸さんと月に1回は,酒宴の場を設け,朝までお互いの研究内容について議論しました.木村さんもカオスダイナミクスを用いた組合わせ最適化技法を研究テーマとしていたため,自分の考えや方法が正しいかどうか,カオスダイナミクスを用いて効果的な解探索を行なうためにはどうすればよいのか真剣に話し合いました.木村さんとの議論は,研究成果の大きな割合を占めていると言っても過言ではありません.このように,環境に恵まれていたこともあり,私は平成20年度から特別研究員として採用されることになりました.

 学部3年生のみなさんは,これから研究室が決まり,研究者としての第一歩を踏み出しますが,どの研究室に配属されても研究の醍醐味を味わって欲しいと思います.池口研究室に配属された際は,一緒に醍醐味を味わいましょう!!

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