池口研に入らずんば・・・

加藤 秀行

私は学部3年の時に,ニューロンに興味を持ち,研究室配属では,是非ニューロンの研究のできる研究室に入ろうと思っていました.私が研究室配属の頃,情報システム工学科にはニューロンの研究ができる研究室が2つありました.その1つが池口研究室でした.池口研究室のホームページを見てみたところ,池口研究室ではニューロンだけでなく,カオスや最適化問題などの様々な研究をやっていることを知りました.しかし,もう1つの研究室は主にニューロンの研究しかしていませんでした.そこで,池口研究室に入れば,ニューロンの研究だけでなく,他の研究も知ることができると思い,池口研究室に入ることを決めました.このように,池口研究室は幅広い研究分野をカバーしているので,必ずやりたい研究が見つかると思います.私は池口研究室に入ったわけですが,初めは右も左も分からず,何をしてよいか全く分かりませんでした.ニューロンの研究と一口に言っても,様々な研究分野があったからです.しかし,研究テーマについては,池口先生が真剣に相談にのってくださるので,心配ないと思います.事実,私も池口先生に研究テーマを相談し,現在の研究テーマであるスパイクタイミングに依存した学習により形成されるニューラルネットワークの構造とダイナミクスを解析するという研究テーマを見つけました.スパイクタイミングに依存した学習により形成されるニューラルネットワークの構造とダイナミクスを解析するという研究です.

ニューラルネットワークは学習によって時間とともに構造を変化させる典型的な非線形ダイナミカルシステムです.脳では,このようにニューラルネットワークの構造を変化させることで,記憶や学習を実現しています.そのため,ニューラルネットワークが形成するネットワーク構造やダイナミクスを解析することは,記憶や学習のメカニズムを解明する手がかりになります.具体的なネットワーク構造の解析法には,複雑ネットワーク理論を使っています.この研究は,これまでに同じような研究がなく,最初はとても戸惑いました.しかし,池口研究室は大学院生の先輩が多く,また,先輩たちは,いつでも相談にのってくれるので,気軽に議論することができ,分からないことを教えてくれました.また,先輩との議論で解決できない場合は,池口先生がアドバイスをくださったり,一緒になって考えてくださるので,安心して研究できると思います.先生や先輩と議論することにより,私の研究も少しずつ進んで行きました.

しかし,12月頃まで良い結果が得られず,次第に焦りが出て来たのも事実です.そんな時,この行き詰まった状況を打開できたのも先生や先輩との議論でした.おかげで,良い結果を出すことができ,卒業研究の成果を電子情報通信学会の総合大会で発表することもできました.

修士になってからも引き続き, スパイクタイミングに依存した学習により形成されるニューラルネットワークの構造とダイナミクスを解析しています.研究結果は国内だけでなく,海外でも発表を行いました.このように池口研究室に入ると,学外で発表したり,論文を執筆したりするので,社会に出てからも必要になるプレゼンテーション能力や文章執筆能力が鍛えられます.また,大学院に進学すれば,英語での発表や論文執筆も経験できるので,日本語だけでなく,英語の能力も飛躍的に向上します.このような,スキルは社会に出てからも必ず必要になるといわれているので,池口研で鍛えておくといいと思います.

また,私は同期のライバル成沢君とともに研究をがんばりました.その結果,電子情報通信学会の学術奨励賞を二人同時に受賞することができました.この賞は池口先生によればとても名誉ある賞で,受賞することが難しいといわれているそうですが,池口研では歴代多くの先輩方が受賞されています.さらに,今年は博士前期課程を1年で早期終了し,博士後期課程に進学することもできました.これらは,池口研に入っていなければ達成できなかったと思います.このように,池口研に来て,池口先生に指導していただければ,みなさんにとってプラスになることはあっても,マイナスになることは一つもありません.

最後に,もしニューロンや複雑ネットワークに少しでも興味があるのならば,もちろん,それ以外の研究がしたくても、池口研究室に来ることをお薦めします。一緒にニューロンや複雑ネットワークの研究をして、新しいことを発見しましょう。

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