前期開講の経営科学1や 後期開講の経営科学2などではその重要性を詳しくお話しました. 私たちは,

「非線形ダイナミクス!!」

こそが複雑現象の本質であると私たちは信じています. 池口研究室では,神様のチェスの謎を解き明かすべく, 「非線形ダイナミクス」に関した理論を用いて,複雑な現象を対象 とした解析や実験によって研究を進めています.

池口研究室では, 様々な研究テーマを選ぶことが可能ですが, その大きな理由が非線形現象が私たちの身の回りに溢れている ということにあります. 私たちの普段の生活には, 非線形性とそれが生み出す複雑現象が満ちあふれています.

現在,池口研究室では, 以下の三つ研究テーマ,
(1)データ工学,
(2)生体情報工学,
(3)カオス工学の応用
を中心にして, 研究活動を行っています. もちろん,これら以外の研究テーマを行うことも可能です. 過去に池口研究室所属の学生の皆さんが発表した, 卒業論文,修士論文,博士論文の題目をこちらのページに乗せています. どのような研究が行われてきたかも参考にしてください.

  • [1] データ工学

    私たちの身の回りには,脳, 神経回路網,インターネット, WWW,人間関係,交通,噂の伝播,病気の感染など いろいろなネットワークが存在しています. そして,これらのネットワークからは, 時々刻々と状態が変化する複雑な振る舞いが生み出され ています. 池口研究室では, これらの複雑な現象を時系列データ, ネットワークデータとして調査する ことで研究を進めています. また,カオスを含む振動現象の同期にも着目し, 同期現象の基礎調査,工学的応用の研究も行っています. これらの複雑現象の背後に潜むルールを解き明かして, 未来予測,不具合の制御,状態診断などの工学的な 重要な課題を解決します.
    • ネットワーク構造 (繋がり方) の推定
    • ネットワーク情報伝播モデルの構築
    • 複雑ネットワークの時間発展予測
    • 音声信号,画像信号の非線形予測・合成
    • カオス同期現象の基礎調査
    • カオス同期の工学的応用
    • 雷発生,地震発生(間隔・規模)の予測
    • 降水量,風向風力予測
  • [2] 生体情報工学

    私たちの脳の中では, 数十億個の神経細胞が複雑に結びついています. これらの神経細胞は, どのように結びついて情報を処理しているのでしょうか? どのような情報処理の原理が用いられているのでしょうか? 池口研究室では, 脳内で実際に観測されている学習に着目して研究を進めています. 具体的には, 脳で用いられている情報処理原理を調査することで, 従来のノイマン型計算原理とは異なる 脳形計算原理を用いた新しい計算機の実現を目指しています. また,神経細胞と同様に活動電位を生成する膵臓のβ細胞の 振る舞いをモデル化することで, インシュリンの分泌機構を解明し, 糖尿病治療に役立てようとしています.
    • 脳における記憶・学習機構の解明
    • スパイクタイミングに依存したシナプス可塑性学習により導かれる神経回路網の応答解析
    • 神経回路網における雪崩現象,同期発火現象の解析,一貫性,再現性
    • カオスを用いたパターン認識,パターン識別
    • ブレーン・マシン・インターフェース
    • 膵β細胞の活動電位の調査,インシュリン分泌の 数理モデル化と糖尿病治療への応用
  • [3] カオス工学の応用

    非線形ダイナミクスから生み出されるカオス現象は, 一見すると予測不能で乱雑な振る舞いを示す という特徴を持っています. 池口研究室では,このような カオスの特徴を積極的に応用する 研究にも取り組んでいます. その一つが巡回セールスマン問題,二次割当問題, ナップザック問題 などのNP困難な組合せ最適化問題の近似解を高速に かつ効率的に求めるためのアルゴリズムの開発です. また,カオス振動の有する複雑さが, 人体に対してどのような影響を与えるのかという 調査も行っています. この調査を通じて, 新しい低周波治療器,マッサージ機, 発光装置の開発にも取り組んでいます.
    • カオスを用いた大規模組合せ問題の解法
    • カオスを用いたパケットルーティング問題の解法
    • カオスを用いた配送計画問題の解法
    • カオス低周波治療器,カオスマッサージ機, カオス発光装置の開発
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