社会でもいきる研究室の経験

星野 聖

池口研究室OBの星野聖です.池口研究室では,配送計画問題という最適化問題に関する研究を行っていました.研究の流れとしては,問題を解くアルゴリズムを調べ,新しいアルゴリズムを考え,C言語でそのアルゴリズムを実装し計算する,というのが主でした(少々ざっくりしすぎですが…).現在はというと,富士ゼロックス株式会社に就職し,Perl,Javaなどを使った開発などを行っています.

日常で,大学時代の研究内容は仕事に結びついてますか?なんて聞かれたりすることがありますが(自分も就職活動をした時によく聞いた記憶がありますが),はっきり言ってほとんど無関係です.C言語だけで開発の仕事はなかなかできないですし,研究していた内容(私の場合は離散最適化)を活かせる会社というのもそうそう無いと思います.会社の同期に聞いても,大抵の人は,大学の研究は今の仕事と関係無いと言います.

「ってことは,研究室なんてどこでもいいし,楽な研究やって,とっとと就職した方がいいわけですね!」という風には考えないでほしいです.私は,大学4年から大学院2年までの3年間,池口研究室でとても良い経験をさせてもらい,色々なことを学ぶことができました.社会人になった今,池口研に入って大学院に進学して本当に良かったと感じています.ということで,本日はその良かったと思うことを皆様に紹介させていただきたいと思います.

  • 人にモノを伝える能力が鍛えられる

    池口研究室では人前で発表する機会が多くあります.学会や研究会などは勿論,日常のミーティングや,先生との研究の相談など,自分の行っていることを人に説明するという機会が多いからです.今,「それはイヤだなあ…」と思った人は逆に池口研に入った方がいいかもしれません.社会人になると,人に様々なことを伝えなくてはならない場面が多々あります.例えば,研修などでは,多くの場合そのレビューを行わなければなりません.また,日常の業務では,プロジェクトの概要説明を定められた時間内で行う必要があります.自分が作ったプログラムの挙動を説明するなどの場面もあります.このような場面で,プレゼンテーション能力,人に伝える能力が非常に重要になります.前述したように,池口研では人に伝える機会が多く得られます.そして,先生や先輩方が熱心に指導をしてくれます.発表の構成から話し方まで様々なアドバイスが貰えます.おそらく,ここまで細かく指導してもらえることは今後無いと思います.会社に入ってから,研修などで発表する機会が何度かありましたが,池口研での経験は非常に役立ちました.人に伝える能力を鍛えられたことは非常に大きかったと思います.
  • 文章を書く能力も鍛えられる

    池口研究室では発表する機会が多いため,必然的に文章を書くことも多くなります.論文・発表用の原稿・ミーティング資料・メールなどです.これらの文章を書くときも,池口研では先生や先輩が熱心に指導をしてくれます.文章構成は勿論のこと,「てにをは」レベルの細かい部分まで指摘してもらえます.私は,特に,当時博士課程の大学院生だった木村先輩に細かく指導していただきました.主語と述語は近くに書くとか,長い修飾語は先に置くなど,かなり基本的な部分から教えて頂きました.最近,会社で特許説明書なるものを書いたのですが,文章はよく書けているとお褒めの言葉を頂きました.池口研での経験が無かったらどうなっていたことやらと本当に思います.ここで一つ言いたいのですが,指導してもらった後には,指導する立場に是非なってもらいたいということです.指導される側の経験と指導する側の経験はかなり違うものです.人の文章をチェックすることで,さらなる気づきが生まれます.私は大学院に進学して,指導する立場に立ったことも大きなプラスだったと思っています.
  • やれば成果が出る

    ここまでは基礎的な部分について書きましたが,勿論,研究に関しても熱心に指導して頂けます.周りには常に人がいるので,困ったときに相談したり議論することができます.そういった環境の中でしっかりと研究に取り組めば,必ず成果が出ます.そして,成果が得られればさらに嬉しいことが待っています.
  • 奨学金の返還免除

    私は,日本学生支援機構の第一種奨学金の貸与を受けていましたが,大学院修了時までにあげた業績により全額返還免除をしていただきました.借金が0ということも勿論嬉しかったのですが,業績を公式に認めてもらえたということも非常に嬉しかったです.この成果は一人では絶対に出せるものではありません.推薦して頂いた池口先生をはじめ,先輩方や研究室の仲間のおかげだと思います.
  • 海外旅行発表

    池口研では,海外発表も積極的に行っています.発表は大変かもしれませんが,その後は楽しい海外旅行です.発表も含めて,貴重な体験ができると思います.また,「国際学会の発表」というのは,結構話のネタになります(笑).
  • 職場での株が上がる

    情報系の部署の場合は特にそうなのですが,新人が来ることが決まるととりあえずググるようです.私もググられました.自分のホームページも見ていただいていたようです.国際学会で発表しているとか,原著論文を書いていることなど,現在の部署に配属される前から高く評価してもらっていたようです.若干過大評価なところはあったようですが….
  • 少し具体的な内容になりすぎたかもしれません….いろいろと嬉しいことはありましたが,一番大きいのは,自分で成果を得るという経験だと思います.私は元々かなりネガティブな性格だったのですが,池口研では自信が持てる体験を多くすることができたと思います(実はネガティブな性格はあまり変わりませんが…).そういった経験をできる研究室に入れたことは非常に良かったと感じています.

    長々と書いてしまいましたが,言いたかったことは,池口研究室に来れば社会で必要な基礎的能力が十分に備わるということ,頑張れば必ず大きな成果を得られるということです.池口研での経験は非常に貴重だったと思います.正直,大学3年生までは大したことやってないなあ…と感じていましたが,最後の3年間は今までの人生の中でも非常に大きかったと感じています.今,「自分も大したことやってないなあ…」と思った貴方そして貴女,これから池口研で頑張ってみたら如何でしょうか.きっと損はしないと思います!

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