10年間

保坂 亮介

保坂 亮介

こんにちは.2006年に池口研究室を修了した保坂亮介です. 福岡大学で助教をしています. 早いもので,池口研を出てから8年が過ぎました. この機会に,今感じることを書きたいと思います.

私は1996年に埼玉大学工学部情報システム工学科に入学しました. サークルで演劇に夢中になっていて, 留年せずに大学を卒業できたのが奇跡としか思えないほどの成績でした. 今,自分が大学教員となって学生に教えていると, もっと勉強せいや!と日々思うのですが, そんな時に自分の学生時代を振り返ると, ついつい甘くなってしまいます. とはいえ,自分を一番助けてくれるのは勉強なので, ちゃんと勉強しましょう. 特に基礎的なところを徹底的にやってほしいと思います. 数学なら,計算が出来るだけでなく, 定理や証明も理解してください. あとあと効いてきます.

一方で,演劇に打ち込んだことも貴重な財産です. 本番に向けて,毎日遅くまでチームで大道具を作ったり, 稽古したり,意見があわなくて喧嘩したり. 理系の勉強だけでは得られないものがあったと思います. 社会は人と人の関わりあいでできていて,自分ひとりで完結することはありません. 軋轢や衝突があっても腐らずに社会の中で仕事ができるようになってください.

さて,4年生になると研究室配属になりますが,成績が悪かったので, 第4志望の研究室への配属になってしまいました. ところが,卒研をはじめてみると,研究はとても面白くなりました. 卒業研究は神経細胞のシミュレーションを行いました. とてもかっこいいことをしている気がして,誇らしくさえ感じられました. 研究も仕事も同じですが,ハマると面白くなります. 研究テーマは自分で決めるのか,先生に与えてもらうのか, たまたま見つかるのか,人それぞれですが, 研究テーマが決まったら,好きとか嫌いとか考えず,一年間ハマってみて下さい. きっと楽しくなって面白くなって,最後は趣味みたいになります. そうなれば,結果は自ずと出てきます.

あと,ぜひ大学院に進学して下さい. 大学院は,学部とはぜんぜん違います. 皆さんの感覚で例えると部活のようなところです. 研究室の先輩・同期・後輩と一生の友人になれるところです. 先生と一生の師弟関係になれるところです. 学外の研究室にライバル・友人を作れるところです. これを経験せずに社会人になるのはもったいない.

しかし,当時の私は大学院のことは全然知らなかったので, 卒業後,製薬会社に就職しました. ですが,研究したいという気持ちは日に日に強くなり, 迷った末に, たった三ヶ月で会社を辞めてしまいました. 親は心配だったと思いますが,不思議と許してくれました. そして今は,自分がやりたいと思ったことを選んでよかったと思っています. 博士課程修了後は,池口先生のご紹介で, 池口先生の恩師である合原一幸先生の研究プロジェクトに研究員 として就職しました. 2009年に理化学研究所に移り, 2010年から福岡大学に勤務しています.

ぜひこれからの数年間,研究にハマって下さい.楽しいよ.

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