池口研究室と私

紅林 亘

紅林 亘

 学部3年生の皆さん,こんにちは.池口研究室修士1年の紅林です. 今年は総合演習のTAをやらせてもらい,課題Bで皆さんとお会いしました. また,私は理学部から工学部情報システム工学科に転学科して,一つ下の学年である皆さんと一緒に授業を受けましたので,私を覚えていてくれた方もいるかもしれません. 春に皆さんとお会いできるのがとても楽しみです.

 ここでは,なぜ私が池口研究室を選んだのか,選んでみて実際どうだったのか,ということについて書こうと思います. 私は,理学部分子生物学科に入学しましたが,コンピュータと数学を使った新しい生物学に憧れました. そんな中,学部1年の冬に池口先生を知り,先生のお書きになった書籍などを読ませて頂きました. 学部1年の私が書籍の内容を理解できたわけではありませんが,導入部はとても分かりやすく,研究の魅力がダイレクトに伝わってきました. その書籍の中にあった美しいカオスのグラフなどを見るうちに,池口先生への思いは日を追うごとに昂じていったのです. 先生と初めてお会いしたのは,学部2年の初夏のことでした. お会いするまでは恐そうな方だという勝手なイメージを抱いていたのですが,実際にお会いしてみると,皆さんもご存知のようにとても気さくな方でした. そして,先生とお話しさせて頂いたのですが,先生の情熱に強く心を打たれ,運命の出会いだと思いました. 私は,自分が面白いと思うことをやらなければ生きる意味がない,と考えています.私は肚を決めました. 意を決して情報システム工学科への転学科を願い出ました. 必死に単位を取り,早期卒業制度の適用を受けて,晴れて池口研究室に入ることができました.

 私が研究室に入ってまず行ったのは,研究テーマ探しです. 博士3年の加藤さんには神経回路のシミュレーションについて教えてもらい,その出力結果を見て胸の高鳴る思いがしました. また,博士2年の島田さんにも複雑ネットワーク理論についての論文を紹介してもらいました. このように,博士課程の先輩方が研究について自然に相談に乗ってくれるというのも,池口研究室の特徴です. 池口研究室では,時系列解析からニューロサイエンスまで広範な分野にわたる研究が行われていますが,専門とする分野に関係なく, また,先輩・後輩の上下に関係なく,闊達に議論を交わすことのできる伝統があります. 皆さんの思いを先輩方にぶつければ,必ず自分に合った研究テーマが見つかるはずです. 私の場合,テーマが決まるまでに半年ほどかかってしまいましたが,その間も先輩たちは熱心に議論して下さり,研究の方法から研究に取り組む姿勢まで,多くを先輩方から学びました.

 卒業研究のテーマとして私が選んだのは,嗅覚神経系におけるリズム現象でした. リズムは生物にとってとても重要なもので,例えば,脳の中のリズムと情報処理の関係や,運動の制御におけるリズムなどについて広く研究され,応用もあります. 嗅覚系の情報処理に有用なリズムがどのように生成されているか,これを理論的に解析することが,私の選んだ研究テーマです. 試行錯誤しながら研究を進め,それを定期的に研究室内のミーティングで発表します. 研究室に入って間もない頃の私が作った資料を今読み返すと,説明が雑で読むに堪えません. 要点を簡潔にまとめた読みやすく情報量の豊かな資料を書くことは,広く社会人に求められる能力ですが,これを培うのは簡単なことではありません. 私も最初は恥ずかしい資料を書いていたのですが,研究室の先輩方が私の資料を見て様々な指摘を下さり,鍛えてもらいました. こうした厚いサポート体制を,私自身引き継いでいきたいと感じています.

 そして,ある程度成果が出ると学外で発表し,特に海外の学会に発表に行く機会が多いというのも,池口研究室の特徴かもしれません. 私はまだ海外には行ったことがありませんが,沖縄で開かれた研究会で発表をしました. 池口先生と私の二人で沖縄に行ったのですが,私が自動車の運転が苦手であったために,池口先生に運転して頂いてドライブという何とも贅沢な思いをさせて頂きました. 沖縄の海は本当に美しく,沖縄の料理,泡盛,オリオンビール,美ら海水族館など,すべてが素晴らしく最高の思い出になりました. また,池口先生には内緒にしていたのですが,先生がお帰りになった後,国際通りで倒れそうになるまで食べたのも良い思い出です(研究室では大食いキャラが定着しています). 夢中になって食べまくり,その日の夕方の飛行機にのって羽田に帰ってきたのですが,間違えて沖縄の店のメニューを持って帰ってきてしまったことに気付きました. そのメニューを見ているだけで,よだれが出そうです. また沖縄に行く日を夢見て,これからも研究を頑張ろうと思います.

 皆さんと池口研究室でお会いできるのを楽しみにしています. 私たちとともに研究に燃え,その他の楽しいことにも燃えて,思い出をたくさん作りましょう.

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